失踪の真実・・・
ジェフリーは、怒りを必死でおさえた。
そして、自分のSIMカードを自分の携帯に戻し、電源を入れた。
電源を入れた途端、ジェフリーの携帯がなった。
グレイスの友達のジーナからだった。
ジーナは、ジェフリーを心配して電話してきてくれたのだ。
ジェフリーは、グレイスとレイナンのことは話さなかった。
ジェフリーは、全てを秘密にすることにしたのである。
ジーナは言った。
「もうセブに帰ってきなよ。」
「わかった。セブに帰るよ。電話ありがとう・・・。」
ふと、ジェフリーは、グレイスの部屋にあった領収書にメモしてあった携帯のナンバーを思い出した。
ジェフリーは、そのナンバーを自分の携帯に登録していた。
ジェフリーは、そのことをすっかり忘れていた。
そのナンバーに電話をしてみることにした。
ひょっとして、グレイスの携帯のナンバーかもしれないと思ったからである。
呼び出し音がなっている・・・
そして、男が出た。
「もしもし・・・」
ジェフリーは、電話を切ろうとしたところ・・・グレイスの声が聞こえた。
その男は、レイナンだったのだ。
ジェフリーは、電話を切った。
グレイスとレイナンが、今一緒に住んでいることを確信した。
ジェフリーは、セブに帰ることにした。
時刻は、午後3時をまわっていた。
オサミスからセブ行きのフェリーは、明後日までスケジュールがない。
ジェフリーは、早くセブに帰りたかった。一刻も早く、この土地を離れたかった。
カガヤン・デ・オロまで行けば、毎日セブ行きのフェリーが出ている。
運がよければ、今日の8時出航のフェリーに乗れるかもしれない。
ジェフリーは、カガヤン・デ・オロまで行くことにした。
ジェフリーは、グレイスの母親にお礼を言い、そして、舗装された道まで歩いて行った。
そこから、トライシクルに乗り、市場まで戻り、そこで、カガヤン・デ・オロ行きのバスに乗ることにしたのである。
市場に戻ったジェフリー・・・
体調が悪くなってきた。吐き気と腹痛・・・
市場の入口は、ちょっとした広場になっていた。
ジェフリーは、そこのベンチに座って体調を整えようとした。
そして、ベンチに横になり、いろいろグレイスのことを考えた。
ジェフリーは、再び怒りがこみ上げてきた。
「グレイスに会って、本当のことを聞きたい・・・」
しかし、グレイスの居場は全くわからない・・・
グレイスを探すのは、不可能であった。
続く
失踪の真実 ⑪
投稿日:2009年8月26日(水)
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