失踪の真実 ⑬

投稿日:2009年8月29日(土)

失踪の真実・・・
「この女、昨日見たぞ。」
ジェフリーの目が開いた。
「どこで見たんですか!!」
「ああ、この山を登ったところにナアワンという地域がある。そこを越えて、さらに山を登ったところにルビランというところがあるのだが、そこで見たよ。家を借りて住んでいるみたいだ。男といっしょだったなぁ・・・。」
見つけた・・・
グレイスたちが住んでいるところを見つけた・・・
「これからおれは、ルビランに行くけど行くか?」
男性は、ルビランの友達の家に居候していて、今日の午後、セブに住む自分の娘の家へ行くのだという。
ジェフリーは、男性について行くことにした。
グレイスに会って話すことはないが、なぜか行きたい衝動にジェフリーはかられたのだった。
男性は、バイクでこのサリサリストアに来ていた。
ジェフリーは、男性のうしろに座った。
そして、バイクは出発した。
バイクは、ゆやかな坂道を登って行く。
15分くらい行ったところに町があった。ナアワンというところだ。
バイクは、そのナアワンを通り過ぎ、さらに山を登っていった。
バイクが走る道からは、遠くの景色がよく見えた。
朝日が、とてもきれいだった。
海が見える。そして、海岸沿いの道を車が走っているのも見える。
さわやかな風が、ジェフリーの顔に当たっていた。
坂の途中でバイクが止まった。
男性は、一つの家を指さした。
「あの家だよ。お前さんの写真に写っていた女が住んでいる家は。」
その家は、木でできた小さな家であった。
「会ってもしょうがないんじゃないか?俺はバイクを返して、荷物を取ったらカガヤン・デ・オロに行くが、一緒に行くか?」
ジェフリーは、男性と一緒に行くことにした。
「よし、30分後に、ここをすこし登ったところにサリサリストアがある。そこで待ち合わせをしよう。」
そう言って、男性は行ってしまった。
ジェフリーは、グレイス達の住んでいる家を見つめた。
そして、ゆっくりその家に向かって歩き始めた。
家の外には、洗濯物が干してある。
見たことのある服が干してあった。
ジェフリーは、家の窓から、恐る恐る家の中を覗いた。
家の中は静まり返っていた。
人の気配はないようだった。
ジェフリーは、家の反対側へ回り、そこにあった窓から、もう一度家の中を覗いた。
いた・・・
人がいた・・・
男と女だ・・・ しかも、裸で抱き合いながら寝ていた。
女はグレイスだった。
ジェフリーは、怒りが再びこみ上げてきた。
全てがウソだった。彼女は、自分をだまし、零何と駆け落ちしたのだ。
許せない・・・
絶対に許せない・・・
続く