「じゃ、行ってくる」
Wが仕事に出かけた。
Kは、Wが出かけたのを確認して、デートの用意を始めた。
今日も青年とのデートであった。青年とは既に3ヶ月の付き合いとなっていた。
いつものようにショッピングモールへ出かけ、ショッピングの後はモーテルというコースが定番であった。
バーの仕事が終わったら、青年と会い、翌日の夕方まで部屋に帰らないことが多くなっていた。
Kは、バーでの仕事も楽しみながら、客と寝て稼いだお金で青年と遊んでいたのだ。
Kの頭の中には、もうWと子供はなかった。
その日・・・
モーテルで、ほんの些細なことから青年と喧嘩になった。
青年は、仕事をしにマニラに行くという、一緒に行こうと言われたのである。
Kには受け入れられないことであった。
青年は、自分を愛しているならば一緒に来てほしいと言っていたのだ。
ふとKの頭の中に、Wと子供の姿が浮かんだ。
Kがあれだけぞっこんになっていた青年に対する気持ちが、一気になくなったのだ。
Kも青年とは、これで終わりかなと思った。
青年は、不満足そうな顔をして、Kに捨て台詞をはき、去っていった。
「あんたの旦那と子供にまた会えればいいな」
・・・・Kには意味がわからなかった。
アパートに着き、部屋に入ると部屋の中ががらんとしていた。
子守を任せていた妹がいない、子供もいない・・・
「まったく、どこに遊びに行ったのかしら・・・」
外にKは子供と妹を探しに行った。
どこを探しても、妹と子供は見つからなかった。
日も落ちてきて暗くなってきたので、一旦部屋に帰ることにした。
そして、部屋について、よく部屋の中を見ると・・・
妹に荷物・・・
Wの荷物・・・
子供のミルクなど、全て無くなっていた・・・
ドロボウ???
一瞬、Kはそう思った。
しかし、妹はいつまでたっても帰ってこない・・・
心配になったKは、近所の人に聞いてみた。
近所の人は冷たくこう言った。
「あんたがデートしている間に、Wが帰ってきて、妹さんと子供を連れて行ったよ。何やってたのあんた青年とこんな時間まで・・・」
Kは頭が真っ白になった。
アパートの入り口にはサリサリストアがあった。
Kは、以前Wと青年がアパートの入り口で話していたのを思い出した。
そのサリサリストアには、アパートのオーナーが常駐しているので、
2人の会話を何か聞いていたかもしれない。Wたちの行き先がわかるかもしれないと思い、オーナーに聞いてみた。
オーナーから聞いた青年がWに話していたことは、とんでもないことであったのだ。
続く
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あるフィリピーナの過去 第5話 ④
投稿日:2011年4月19日(火)